患者: 健康診断で血圧が高いしコレステロールも高いので治療が必要ですと言われましたが!
医者:癌は転移してなければ外科手術でなおります。感染症は抗生物質を飲んで体内の細菌を殺せばなおります。高血圧は一生薬で抑えておくだけ、治せません! コレステロールも薬で抑えているだけ、薬をやめたら抑えが効かなくなる。 気管支喘息の発作はステロイドを吸入していれば抑えられます。 でも治していません。これって痛みを鎮痛剤や麻酔薬でおさえているのと同じです。 病気を治しているのではありませんね。症状や検査データを制御(コントロール)しているだけです。 血圧降下薬にはカルシウム拮抗剤、アンジオテンシン受容体拮抗剤、 ベータブロッカー、利尿剤などがあります。 このうちどれかを使いましょう。
患者:検査も薬もお願いします、でも高血圧を治してください!
医者:そんなこといっても専門家による高血圧治療のガイドラインでは血圧降下薬を使うことになっているし、教科書にもほかに治療法は書いてありません。病気を治すなんて無理ですよ!
患者:でも、世界中で専門家が高血圧の研究をしているのでしょう。 どうして治せないのですか?
医者:研究によって病気の原因はかなりわかってきているのですが、複数の原因があって、相互にからみあって病気をつくりだしているのです。 しかも、個々人で同じ病気でもその複雑な絡み合いのパターンが異なるのです。 だから、複数の原因とその絡み合いに対して治療をしなければ病気は治りません。 しかし、現在の薬はいくつかの原因に対してそれぞれ一対一で対応して作られています。ですから、一つの原因に対処することしかできないので病気を治すことができません。
患者:よくわかりません?
医者: ええと、例えば血管の中の血液の量が増えれば風船の中の空気を増やしたみたいにパンパンに張り詰めて内圧が上がります。 塩辛い食べ物をたくさん摂れば食塩は体に水分を溜めますから血液量が増えます。それが高血圧の原因の一つです。 心臓が刺激されて活発に血液を全身に送り出せばやはり血管内の血液量が増えて血圧が上がります。それから、血管壁は筋肉でできていますから筋肉を収縮させて血管の内径を細めれば、やはり内圧は上がり高血圧になります。 筋肉を収縮させて血管の内径を細める原因には交感神経や血液に含まれる小さな物質やホルモンなどいろいろあります。 ストレスで血圧があがるのは交感神経が興奮するからです。血圧の薬はそれぞれ一つの原因に対応しています。 しかし、実は極端に言えば、今あげたすべての原因がそれぞれ一定の割合で関与して高血圧を引き起こしているのです。しかもその割合は個々人で異なっています。いわば、個々人が長年かけて血圧上昇の心身のくせ(トラウマ)を作り上げたのです。その上、今あげた原因以外にもまだわかっていない原因もあるのです。 だから、血圧の薬で無理矢理血圧を下げますが血圧上昇という心身のくせ(トラウマ)である高血圧症という病気それ自体を治すことはできません。わかっていただけましたか?
患者: なんとなくわかりました。そうすると科学的に血圧上昇のくせを研究して細かく原因を突き止める方法では原因の数が増えるだけでではなかなか治療に結びつかないと思うのですが?
医者:うーん、確かにおっしゃる通りなのです。一度ついた心身のくせ(トラウマ)は治りません。それは患者さん自身の問題なのです。 今の医学は血圧を下げることはできますが、高血圧症という病気を治すことができないのです。
患者: だから血圧をコントロールするために薬を一生飲み続けなければいけないのですか。
医者: そういうことになります。
患者: 漢方などの伝統医学で高血圧や喘息がなおったという話を聞くのですが、うそなのでしょうか?
医者: わかりません? どういう治療をしたのですかね。 もともと、一時的な高血圧だったのが自然に治ったのですかね? カウンセリング効果やプラセボー(偽薬)効果もありますからね。
患者: 怪しげな治療なのでしょうか?
医者: 私たちは医学部でも卒業した後の研修でも漢方など伝統医学の教育は受けていません。伝統医学に関してはずぶの素人なんです。ですから、なにも知りませんのでコメントできないのです。
患者: そうなんですか! 知りませんでした。先生がたは伝統医学の教育もうけていて専門知識をもっているのかと思っていました。 わかりました。それでは、伝統医学の専門家に聞くしかありませんね。
医者:漢方人間ドックを受診すれば一人一人異なる五臓六腑の異常が高血圧を引き起こしていることが判りそれぞれに対するオーダーメードの漢方治療が出来るそうです。