正常眼圧緑内障の漢方治療:診断から治療の流れ
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一般的に緑内障は、「眼圧(眼球内の圧力)が高過ぎるために視神経が障害され、視野が欠ける(見える範囲が狭くなる)病気」と定義されています。これは、高眼圧緑内障に関しては正しいのでしょうが、正常眼圧緑内障には当てはまりません。
ところが、眼科の標準的な治療では、眼圧の上昇を抑える点眼薬や眼圧を下げる手術といった、高眼圧緑内障の治療法を、正常眼圧緑内障にも行っています。
眼圧が正常範囲でも、その人の視神経にとっては高過ぎると考えられるので、眼圧の上昇を阻止する、あるいは下げるという考え方です。
残念ながら、こうした治療法は、正常眼圧緑内障に対してはあまり効果をもたらしません。そのことは、すでに米国での研究によって明らかにされています。
ちなみに米国では、緑内障の約8割が高眼圧緑内障で、正常眼圧緑内障は約2割です。米国でも、正常眼圧緑内障に対して、眼圧を下げる治療法を行っていますが、患者が少ない分、その影響は限られます。
一方で、日本では、正常眼圧緑内障が約7割を占めますので、効果の低い治療法を行っている影響は大きくなります。
高眼圧緑内障に対する治療法が、正常眼圧緑内障に対して高い効果を示しにくいのは、この二つは同じ緑内障という病気としてひとくくりにできないほど、原因が大きく違っているからです。
その違いを簡単に言うなら、高眼圧緑内障は、眼圧が高いことから起こる「目の病気」です。それに対し、正常眼圧緑内障は、視神経の脆弱性(弱いこと)から起こる「神経の病気」と言えます。
視神経の脆弱性の原因の多くは胃腸虚弱(消化吸収力が弱い)に依ります。 また、心理的トラウマ、精神的ストレス、自律神経失調、血流障害、エネルギー代謝の低下、食生活の不摂生、過食、多量の飲酒、ひどい近視、低体温、冷え性、 低血圧、なども原因となります。このように同じ緑内障でも個々人でその原因が違うので五臓六腑の病態診断が異なります。各人の診断結果に基づいて各種生薬を組み合わせて(20~30種類)オーダーメードの煎じ薬を作成します。 日本漢方のように既成のOO湯で治療することはありません。 個々人の病態を診断して、その結果に基づいて20~30種類の生薬を組み合わせた処方を作り上げます。したがって、同じ病気でも生薬の組み合わせは個々人で異なります。