膠原病と痺症の漢方薬治療
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伝統医学の専門医にとっては膠原病漢方治療がよく効くことはコンセンサスとなっている。しかし、漢方医学には膠原病という言葉はない。 膠原病と思われる疾病概念としては痹症(病)というのがある。 紀元前168年の馬王堆三号漢墓より出土した古い医書に痹症に関する記載がある。 後漢の時代の医学書である黄帝内経の痹論篇には既に痹症が原因、障害される臓器や部位などにより分類されている。傷寒雑病論などの古典医学書にも痹症の鑑別診断に関する記載がみられる。 皮痺は皮膚に起こる痹症で強皮症に、肌痹は皮膚筋炎に相当すると思われる。 また、脈痺は血管閉塞を引き起こす痹症で結節性多動脈炎やChurg-Strauss症候群などを包含する疾患概念と考えられる。骨痹は骨・関節に生ずる痹症であり、強直性脊椎炎や関節リウマチ、成人スチル病に相当すると思われる。シェーグレン症候群は燥証に属するが、病変が全身に及べば周痺に、臓腑に及べば臓腑痺となる。全身性エリテマトーデスは「陰陽毒」、「蝴蝶丹」、「紅蝴蝶」などと称されるが全身に症状が波及するので周痹に相当する。膠原病の急性期で激烈な症状を呈する場合は副腎皮質ホルモン大量投与など西洋医学による治療が必要であることは言うまでもない。 その上で漢方治療の併用を行うことにより予後の改善が期待できる。 また、一般に症状が激烈で無い場合は膠原病は漢方治療のみで比較的短期間で治癒することが多い。長期間に及ぶステロイド治療中の場合でも適切な漢方治療を行えばステロイド治療からの離脱も可能である。しかし、漢方治療が有効であるといっても、いわゆる漢方薬のooo湯で膠原病が治るということではない。ある人は漢方医のところで、oo湯とoo丸を処方されたが効果がはっきりしないと言ってきたが、理由は個々人で異なるシステム異常に対応した生薬を組み合わせたカスタムメイドの処法を作成することで初めて有効な治療になると言うことであり、既成の漢方方剤では効果は期待できない。実際、伝統医学のシステム理論と生薬の高度な知識が無ければ、診断もできないし、有効な治療する生薬の処方を作成するすることもできない。

